大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和40年(ソ)37号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕抗告人の抗告理由の要旨は、「前記調停調書の調停条項第六条には、相手方が賃料の支払を怠りその額五箇月分に達したときは申立人(抗告人)は催告を要せずして土地賃貸借を解除し得る旨の約定があり、相手方は昭和四〇年六月分から一〇月分までの五箇月分の賃料の支払をしないで、抗告人は右約定にもとずき同契約を解除し、右調停調書正本にもとずき執行文の付与を求めたところ、同裁判所書記官富田長吉は執行文付与を拒絶した。右執行文付与拒絶に対する異議申立に対し、原裁判所は前記賃料支払不履行の事実を民事訴訟法第五六〇条の準用による同法第五一八条第二項の債権者が証することを要する条件と解し、抗告人の右事実証明は不充分であるとしてこれを棄却したが、賃料不払不履行の事実は執行開始の条件ではあつても、同条第二項の債権者の証すべき執行文付与の条件ではないから原決定は違法である。」というにある。

よつておもうに、民事訴訟法第五一八条第二項にいう条件は、これをもつて積極的事項に限るべきものとするのは、成法の解釈上狭きに失し、右は債務不履行のごとき消極的事実をも含むものと解するを相当とする。かたがた、右解釈は、同法第五二〇条、五二一条等に執行文付与に慎重を期する手続を定めた法の配慮にも合するものと考えられる。しかして債権者のなすべき証明がどの程度で足るかは、債務者審尋の制度と相まち、もとより事柄に応じ、各個に定めるべきところといえる。(三和田大士 宇佐美初男 広田富男)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!